表面処理技術

ここ2年ほど表面処理についてのお問い合わせが増加しており、更に直近の一年は二次曲線で上がっております。ホームページをご覧になって頂ける企業様が増えているようで本当に有り難いことですが、検索エンジン等でキーワードを入力されていると考えますと表面処理に対する考え方も以前とは異なるようにも感じます。

表面処理は様々な目的(機能性)を求められますが代表例は以下のグループです。

1 摩耗対策
2 防錆対策
3 摺動性の向上
4 撥水撥油性あるいは親水親油性の向上
5 その他機能性の付加

順を追って考察して参ります。

1 摩耗対策

摩耗対策で想像しますと硬度を上昇させれば解決するかのように考えられる方も多いと存じます。実際、硬度を上げることで解決できる案件も十分に多いのですが、例えば異種金属の接触で起きる「イオン腐食」や摩擦による帯電で発生する「電解腐食」は硬度を上げても改善せず、かえって悪化することも有ります。
従って、ご相談を承る際に現場の状況や使用環境などをヒアリングして保有する知見の中で最も適合する処理を探さねばなりません。

2 防錆対策

古くは様々なメッキが主流でした。メッキには様々な工法が有り、電解メッキ、無電解メッキ、溶融法、溶射などが御座います。表面を物理的に覆うことで酸素や塩素などとの直接的な接触を避けるものです。これらの工法は総じて比較的安価に行なえますが、ピンホールやマイクロクラック等から浸潤し、脱落を起こしやすいという欠点も御座いました。近年ではコストは若干上がりますが、ピンホール・マイクロクラック等が発生しにくいPVDやCVD工法が指定される案件が多く、コストアップの分、長持ちする傾向に有るため、主流になりつつあります。

3 摺動性の向上

製品を搬送するレール、回転部分の軸受、その他、常に摺動摩耗に曝される面に施され、抵抗を抑えることでダメージや発熱を抑える目的で使用されます。以前はハードクロームメッキが主流でしたが、昨今は、PVD等で摺動性が見込まれる金属(モリブデンやCrN等)を成膜させる手法が多くなっております。更に高周波のスパッタですと通電性のない素材(例えばセラミックス)も成膜出来るので選択肢も広がっております。

4 撥水撥油性あるいは親水親油性の向上

工程の都合上で撥水撥油性あるいは親水親油性の向上が求められる製品に求められる機能を表面処理で実現させる工法です。対象が金属だけでなく、ガラスや樹脂にも拡大しており、成長が激しい分野です。例えば弊社の製品で挙げますと機上測定器【ジェイコア】のカバーレンズには撥水・撥油性のコーティングが施されており、一方で人工骨頭では親水性を上げる処理が行われております。

5 その他機能性の付加

例えば、生体に使用されるインプラントや人工骨など、その上に細胞の成長が望まれる製品においては生体適合性や細胞が成長するための基になる性格が必要になります。表面を電解処理し、必要な元素を対象物に含浸させることで実現させます。

この他にもございますが、金属に限らず、あらゆるご相談を承りますので、お気軽にご連絡賜れますと幸いです。

2019年01月23日