超硬は使用環境に非常に影響を受けやすい材質です。

超硬は一般的に硬くて耐磨耗性が高い材質として評価をされることが多いですが、実はこんな弱点もあります。

項目 トピックス
1.熱に弱い 超硬はタングステンカーバイトコバルトで焼き固めております。しかし、コバルトは熱を加えますと酸化しやすくなり、分子結合に酸素(O)の成分が入り込み超硬合金としての結合力が弱くなる為に簡単にタングステンカーバイトの脱落が起こるようになります。熱環境化で超硬合金が青っぽい色に変色するのは、コバルトが酸化する為で、周囲温度が熱環境下でなくても、摩擦などによってワークの温度が上がる場合は同じことが起こります。目安としては300度ぐらいからと考えてください。
2.銅系統の合金に弱い は、最外殻(M殻)にひとつだけ電子を持つ、非常に不安定な原子です。原子全般にいえることですが、特に金属原子最外殻の電子を放出して安定した状態を造ろうとします。このときに超硬に含まれる、コバルトとイオンを交換してしまいます。電子をひとつ受け取ったコバルトはマイナスイオン化され、分子構造的に不安定な状態になってしまいます。主に、半導体メーカ様で超硬パンチなどを使用しているにもかかわらず、りん青銅などの銅系金属を打ち抜く際に異常磨耗が発生するメカニズムは上記のイオン交換が原因です。基本的には銅系の金属と超硬合金を直接接触させないことが対策となります。弊社のFM工法は超硬合金の上に硬化皮膜を成長させることでイオン交換を防ぎ、コバルトの脆弱化を防ぎます。
3.衝撃荷重に弱い 超硬は、硬度が高い為に、長持ちするように考えられがちですが、基本的に靭性は少ない為に、衝撃荷重などには非常に弱いです。特にタイバーカットパンチの様に薄い形状の物ではその傾向が明白で多少の距離から落としただけでも欠けてしまい、昨今の超微粒子型超硬でも防ぐことは出来ません。硬さと靭性は相反するファクターであり、靭性を重んじれば、グレードの低い超硬を使用せざるを得ず、ここに設計者のジレンマがあります。FM工法を使用することで飛躍的に消耗を抑えることが出来ます。