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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
1 H He
2 Li Be B C N O F Ne
3 Na Mg Al Si P S Cl Ar
4 K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
5 Rb Sr Y Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
6 Cs Ba *1 Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
7 Fr Ra *2 104

ランタノイド*1 La Ce Pr Nd Pm Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu
アクチノイド*2 Ac Th Pa U Np Pu Am Cm Bk Cf Es Fm Mb No Lr


典型非金属元素 典型金属元素 遍移金属元素 周期 基本物理定数


水素 もっとも軽い元素。常温で2原子分子の気体になる。反応性に富み、酸素と一緒に火を付けると、高熱を出して燃える。同位体には、普通の軽水素(元素記号H)、重水素(元素記号D)、3重水素(元素記号T)がある。3重水素は同位体として不安定で、時間がたつとヘリウムの同位体に変化する。映画「宇宙戦艦ヤマト・完結編」において、3重水素が常温で液体であるかのように描かれていたが、これは何かの間違いであろう。波動砲の一撃で大爆発を起こしたが、もちろん真空中ではこのようなことは起きないはずである。
ヘリウム 最外殻のs軌道が完全に埋まっている(d軌道はない)ためイオン化エンタルピーが非常に高く、化学的に安定である。また、原子量も4あまりで、空気より軽い。このため、現在は水素ガスに代わって、風船などにつめる目的に使われるようになった。その他、主に冷却用のガスとして使われる。以前、これを袋詰めにしておいて、肺一杯に吸い込むと声が変わるという玩具を売っていた。
リチウム アルカリ金属中ではもっとも反応性に乏しい金属である。しかし、元素全体では反応性に富む方に属し、水と反応して水素を発生する。この時発火を伴うので、有期溶媒などを使用している場合は注意が必要である。また、窒素の気体とも直接に反応し、ルビー状結晶を作る。工業的には、リチウムアルキルの合成や、リチウム電池の材料、放射線の防壁、核融合の研究などに使われている。
ベリリウム その名の示すように、緑柱石の中に見出せる。2Aの中ではもっともイオン化エンタルピーが高く安定だが、化合物は強い毒性を持っている。工業的には、現在の所さほどの価値はない。放電加工の電極にとの合金(ベリリウム銅)が用いられる他は、確か、プラモデルの鋳型になったと思う。
ホウ素 天然にはホウ酸塩として存在する。水素化合物は一般にボランと呼ばれ、これは炭素に次いで広範な化学を形成している。しかしながら、その構造は炭素化合物のような鎖状ではなく、駕篭形や多面体であることが多い。
炭素 単体には、黒くてもろい黒鉛と、透明で硬いダイヤモンドがある。このうちダイヤモンドは電気を通さないが、黒鉛はゆるい層状構造の間を電子が移動できるので、金属などと同じく電導性を持つ。分子の示性式を考える時に色々な形があるので授業の教材に用いられることも多い。
窒素 単体は2原子分子の気体であり、空気中に体積百分率で78%存在する。比較的安定であるため、物質の過度の燃焼を押える働きを持つ。酸化物は酸性で、水に溶かすと「連続的に」硝酸を作る。この酸は酸化力の強い強酸で、大気の汚染に伴い雨水の中に混入するという問題が起きている。また、水素化合物はアンモニアと呼ばれる弱塩基の水溶性気体で、これの水素を炭素化合物で置き換えたアミンと呼ばれる有機化合物は、タンパク質やポリアミドなどの原料となり、工業的にも重要である。
酸素 天然に存在するもっとも多い元素である。反応性に富み、ほとんどあらゆる元素との化合物(希ガスも含む)を作る。単体には、通常の酸素ガス(2原子分子)とオゾン(3原子分子)がある。
フッ素 全元素中でもっとも電気陰性度と反応性が高く、希ガスを含むほとんどあらゆる元素と常温・高温で激しく反応する。このため、2原子分子の気体である単体は猛毒である。水素化合物(フッ化水素酸)は電離的には弱酸に分類されるが、ガラスを溶かすなどの種々の激しい性質を持つ。
ネオン 希ガスの電子配置を持つため、安定な気体である。その名の示す通り、ネオンサインに用いられる。
ナトリウム 金属は非常に柔らかく、ナイフで切ることが出来る。また、非常に不安定ですぐに空気酸化されるため、石油中に保存しなくてはならない。この金属を少量とって水中に投じると、すぐに火がついて燃えだし水素が発生する。あとに残った物質(水酸化ナトリウム)は強い塩基性を示し、このため、このは「アルカリ金属」と呼ばれる。どこかの大学の学生が、このナトリウム金属の単体が付着した容器を水洗いしたために爆発し、火事になったという話を聞いたことがある。これは大変に危険な行為なのでアルカリ金属の単体を扱う際は、充分に注意をしなくてはならない。
マグネシウム 金属は灰白色の固体で空気酸化されやすいが、表面に保護膜を作るため、中までは進行しない。2Aではあるが、ベリリウムと並んでアルカリ土類とは余り似ていない物質である。ナトリウムと同じく、水と反応して水素を発生するが、そのためには熱を加えねばならない。ただし、このように安定している金属には特異な性質として、火を付けると炎を上げて燃える。この性質を利用して、かつては写真の撮影の際に明かりに使われていたことはよく知られている。
アルミニウム 地殻中にもっとも多く存在する金属。灰白色で軽く加工しやすいので、一円玉、アルミ箔、合金、また単体の粉末は警察の指紋採取などに広く使われている。アルミナと呼ばれる酸化物は温度変化に対して極めて安定で、示差熱分析(DTA)の基準物質などに利用される。この酸化物は亜鉛のそれと並んで両性で、酸・塩基のいずれとも中和反応を起こす。ところで、テレビシリーズ「帰ってきたウルトラマン」の中で、ナックル星人がスペシウムの構造はクロム原子8個にアルミニウム原子300といっているが、こんな物がエネルギー源になるはずもなく、何のことやらさっぱりわからない。
ケイ素 天然存在量は、酸素に続いて2番目である。しかしながら、同の炭素に比べて化合物が少ないため、最近まではこれだけで一つの分野を作ることはなかった。これは、ケイ素が炭素に比べて同じ元素同士での結合を作りにくいからである。また、二酸化物も、炭素は気体になるが、ケイ素は固体の巨大分子を作る。これは、石英として天然に多く存在する。
リン よく知られている単体に、黄リン、赤リン、そして黒リンがある。このうち黄リンは空気中で不安定で発火しやく、有毒である(いわゆる「西部劇のマッチ」に使われているのはこれである)。そのため、水中に保存する。他の二つは比較的安定だが、熱すると発火するので、マッチの頭などに使われている。酸化物は酸性で、リン酸を作る。リンは、窒素、カリウムと並んで、植物の三大肥料である。このため、洗剤などに使用されると、河川に流出した際に水の栄養価を不自然に高め、生態系が崩れる原因となるので、その使用は出来る限り控えねばならない。
硫黄 単体は、よく知られているものだけで斜方、単斜、ゴム状の三つの構造を持つが、天然に広く存在し、阿蘇山のてっぺんなどで土産物として販売しているのは斜方硫黄である。これは、緩く熱し緩く冷却することによって単斜硫黄に変わり、急熱・急冷によってゴム状に変化する。硫黄は代表的な酸性元素であり、その酸化物は水溶することによって、硫酸、亜硫酸などの、酸化力の強い強酸を作る。硫酸は工業的に非常に重要な酸であり、その使用量によって、国家的な工業化の度合いがわかるとまで言われている。
塩素 単体は緑色の有毒な気体であり、水によく溶ける。この水溶液中には塩酸と次亜塩素が出来ており、次亜塩素酸の酸化作用のため、漂白・殺菌作用がある。
アルゴン 安定な希ガスの電子配置を持つ元素。実験室内や溶接、電球などで不活性な気体の環境を必要とするときに使う。電球はかつてフィラメントの燃焼を防ぐために、中身を真空にしていたが、それでは割れやすいので、気体を詰めるようになった。
カリウム ナトリウムと並んで、代表的なアルカリ金属。水との反応では桃色の炎を上げて燃え、水酸化カリウムを作る。植物肥料の三要素として、窒素、リン酸とともに用いられる。最近は、体内の余分なナトリウムを排泄するための物質としても注目されている。
カルシウム 単体は銀白色の金属で柔らかく、極めて不安定であり、ナトリウムに似た性質を持っている(これは、アルカリ土類金属に共通した性質である)。酸化物は俗に生石灰と呼ばれ、水と反応して熱を出し、水酸化物に変わる。これはセメントの材料として使われる物である。この水酸化物(消石灰)は、更に空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸塩になる。これらはいずれも水には難溶性で、水酸化物は強塩基である。カルシウムのイオンは、これ以外にもシュウ酸などと反応して沈殿を作る。
スカンジウム この元素は希土類に分類されることもあるようだが、他の希土類と同じく決して「希」ではない。実際にはホウ素の2倍量が存在する。ただし、鉱石が少なく分離が困難なため、こう呼ばれていたようである。性質はランタノイドに準じるが、酸化物の塩基性が小さくフッ化物がフッ化水素酸に溶けるなど、多少の例外的な部分がある。
チタン 単体の金属は硬くて、さまざまな物質に侵されにくい。酸には、フッ化水素酸か熱塩酸などにしか溶けず、丈夫である。このため、現在は航空機の材料や眼鏡のフレームなどに使われている。アニメーション映画「宇宙戦艦ヤマト」において、ヤマトがガミラス本星の海に沈むと、海水が硫酸であったためにどんどん溶けるというのがあったが、ヤマトの船体はチタンで出来ている筈だから、上のような理由で何かの間違いだと思われる。また、この時の台詞の中に、「海はpH3の濃硫酸」というのが出てくるが、pH3ではかなりの希薄溶液であり、これもおかしな言い方である。
バナジウム 存在量は比較的多いが、広がって分布しているため、濃厚な鉱石はない。高温では窒素酸素炭素などとの反応性が高いので、純粋な単体を得るのは難しい。このため、単体の物理的な性質の測定は困難である。ただし、耐蝕性は非常に高い。モリブデンクロムなどとともに、合金として鋼の材料として使われる。
クロム 単体はもろくて侵されにくい金属で様々な酸化数があるが、重要なのは3価と6価である。6価の状態で酸素と作る二クロム酸イオンの塩は、過マンガン酸イオンなどと並んで硫酸酸性中で強い酸化力を持ち、3価の状態に変わるこれは酸化還元滴定などでしばしば使われる(→ マンガン)。6価の酸化物は極めて毒性が強く、環境汚染の原因となったために、大きな社会問題となった。したがって、実験室で使用する際は、廃液の処理に注意をせねばならない。
マンガン 白色でもろく、反応性に富む金属である。酸化数も多いためさまざまな化合物が存在するが、重要な物として、過マンガン酸カリウムと二酸化マンガンがあげられよう。過マンガン酸カリウムは硫酸酸性中で強力な酸化力を持ち、7価のマンガンが2価に変化する際に特有の紫色が消える。この性質を利用して、指示薬なしで酸化還元滴定の材料として使用できる。二酸化マンガンは黒くて微細な粉末であり、過酸化水素の分解の触媒や、乾電池の減極剤などに用いられる。ある大学の大学院の入試問題に過マンガン酸カリウムが出題されたが、そのとき化学式が書けない受験生がいたそうで、教授が唖然としていた。
工業的に非常に重要な金属。アルミニウムに続いて、2番目に多い金属でもある。単体は強磁性体としての性質を示し、酸化されやすい。空気中に置いておくと、三酸化二物が出来、これは通常「赤錆」と呼ばれるもろい化合物である。熱を加えると一酸化物になり、これは黒くて密な構造を持っている。一般に「磁鉄鉱」と呼ばれる四酸化三物は化学量論的な化合物ではなく、2価と3価の混合化合物である。
コバルト 単体金属は、希い酸にゆっくりと溶ける。イオンは水酸化物イオンの存在下で淡紅色、または青色の錯体を作る。俗に「コバルト」という接頭辞は、「コバルトグリーン」や「コバルトブルー」などのように、色付き顔料の名称に使われるが、これはコバルト化合物の着色を利用しているためである。
ニッケル 化学的には極めて侵されにくい、安定な金属である。また、存在量が比較的多いため、貨幣などによく用いられる。この他、クロムとの合金(ニクロム)は電熱器等のニクロム線に使われるなど、合金の材料として重要な金属である。カドミウムとともに、二次電池の材料にも利用される。
と並んで、工業的に重要な金属である。銅はイオン化ポテンシャルが高く、塩酸などには溶けない。しかし、硫酸や硝酸などの酸化力の強い酸には溶け、2価のイオンになる。このとき、もちろん水素は発生しないことに注意すべきである。2価のイオンは青い色を持ち、アンモニア分子との錯体は更に濃い青色を呈するなど、見分けるのは容易い。金属を空気中に置くと、酸化されて緑青と呼ばれる炭酸・水酸化物に変わる。これは有毒であるので、銅の食器などには注意を要する。ところで、駄菓子屋に「たぐりあめ」と称して販売されている水飴の一種に、この銅のイオンとそっくりな色のものがある。少々無気味である。
亜鉛 地殻中にはそれほどの量はないが、閃亜鉛鉱などの岩石中には広く存在する。白色の金属で、容易に空気酸化される性質を持つため、光沢はあまりない。酸にはよく溶け、水素を発生する。また、塩基にも水素を発生しながら溶け、亜鉛酸イオンを作る。このため、酸化物は酸・塩基の両方を中和する両性酸化物である亜鉛は電池の陰極の材料として広く用いられてきたが、これは手に入りやすく、安定性と酸に溶けやすい性質とがうまく調和しているためである。例としては、ボルタ電池(銅を陽極とし、硫酸を使う)、ダニエル電池、(銅を陽極とし、それぞれの極の硫酸塩を仕切って使う)、乾電池(電解液として塩化アンモニウムなどを使い、二酸化マンガンに染み込ませた物)などが上げられ、近年になって、水銀リチウムなどを使用する電池が現われるまで、よく使われてきた。
ガリウム 量的には非常に少なく、アルミニウムや亜鉛の鉱石中にわずかにあるのみである。金属は両性で、酸にも水酸化ナトリウム水溶液にも溶ける。工業的には、ヒ素との化合物(ガリヒソと一般的に呼ばれている)が電子装置の材料に用いられている。
ゲルマニウム やや青みがかった灰白色の半金属。典型的な半導体で、トランジスタなどに使われる。この目的には、非常に純度の高い物質が必要とされる。これは塩化ゲルマニウムを加水分解してから、水素還元を行うことによって得られる。
ヒ素 猛毒として有名で、推理小説などによく登場する。人体に蓄積しやすく、死後解剖で髪の毛などから検出される。このため、例え少量と言えども、継続的な実験などは注意を要する。毒入りカレーで用いられたことが有名。
セレン このは、酸素硫黄の例からもわかる通り、典型元素でありながら、あまり互いに似ていない。単体の酸素は2原子分子の気体であり、硫黄は結晶固体である。セレンは、通常は非金属元素に分類されているが、同素体によっては金属と著しく性質が似ている(灰色セレン)。これは光伝導性が大きいので、セレン光電池としてカメラの露出計などとして使われる。以前はコピー機の感光体(ドラム)にも用いられていた。
臭素 単体は赤色の2原子分子液体である。単体で液体の状態を取るのは、臭素と水銀だけであり、特異な存在といえる。ただし、沸点は58.8℃であり、実際には気化しやすい。水によく溶け、不飽和炭化水素との不可反応を起こす。1価の陰イオンは銀と反応して沈殿を作り、これは写真材料などに使われる。
クリプトン 希ガスのうちの一つ。化合物はわずかながら存在するが、キセノンよりもはるかに少数である。アメリカの漫画で、テレビシリーズや映画にもなった「スーパーマン」にこの名前の星が出てくる。その内容から見る限り、どうもこの元素とは別の「クリプトン元素」が存在するらしいが、詳しいことは不明である。
ルビジウム アルカリ金属の一つ。反応は爆発的で、アルゴンの気流下で取り扱わねばならない。
ストロンチウム やわらかい銀白色の金属で、性質はアルカリ土類のそれに従う。したがって、単体の金属で産出することはなく、存在量もさほどではないため、鉱石も少ない。ただし、質量数90の物は核分裂の際に主副産物としてとれ、これは安価であるため、トレーサーやβ線源として使われる。
イットリウム ランタンの一つ上に位置し、さまざまな意味でランタノイド系列と似た性質を持つ。これと、スカンジウムランタノイドを合わせて(スカンジウムは抜かすこともある)希土類と呼ぶ。
ジルコニウム 天然にはバデライトやジルコンに含まれる。ジルコンは装飾用などに用いられる宝石の一種である。単体はかなり高融点で硬く、侵されにくい。ただし高温では空気中で燃えて、窒化物、酸化物、酸化窒化物を作る。
ニオブ 天然にはタンタルとともに、鉄・酸素化合物、マンガン・酸素化合物として産出する。フッ化水素酸以外には、酸にもアルカリにも溶けない。各種合金の材料に使われる。昔、「ビッグX」というテレビ漫画の中に、「トカゲニオブ」なる金属が出てきたような記憶がある。これはある形に加工した後半分に切ると、最初の形が両方の破片から復元するという物で、一種の形状記憶合金であろう。もちろん実在の物質ではない。
モリブデン 単体は銀白色の極めて丈夫な金属である。熱に対しては2610℃まで融解せず、酸にも非常に強い。濃硝酸には侵されるが、すぐに表面は不動態となって内部を保護する。ほとんどはステンレス鋼の材料として使われるが、その他、耐火合金や顔料などになる他、確か化学合成オイルにも化合物として添加されていたと記憶している。
テクネチウム 安定な同位体は存在しないので、核分裂の廃棄物から回収される。性質についてはレニウムと類似である。
ルテニウム 白金の中でも、特に少ない元素。銀白色で硬くてもろい。パラジウムと同じく気体を吸収して貯える。水素と窒素との化合や、エタノールの酸化の触媒に使われる。
ロジウム 単体は銀白色の金属で、白金鉱中に含まれる。酸にも王水にも溶けず、融点も高い。この性質を利用して、白金合金にして熱電対やるつぼの材料に利用される。
パラジウム 白金の中でも、酸化数が +2 の時など、比較的白金に似ている。白金より軽く値段が安いので、触媒などに用いられる。水素を吸収して、内部に貯える性質を持つ。
単体は白色光沢を持ち、イオン化傾向が低い。現段階では、最高の電気伝導度、熱の伝導度では最高である。比較的安定で光沢が保持され易いので、貨幣、食器、装身具などによく使われる。ただし、硫黄とその化合物に対してはよく反応し、黒く変色する。銀はまた、沈殿を作りやすい物質としても知られている(沈殿滴定の一部として、「銀滴定」という用語もある)。特に硫化水素と作る硫化銀(黒)や、ハロゲンと作るハロゲン化銀(白)が知られており、塩化銀や臭化銀は写真材料として、工業的にも重要である。
カドミウム 単独の鉱石はほとんど存在しないが、亜鉛の鉱石中から副産物として取り出せる。性質や結晶の構造は亜鉛に準じるが、人体に蓄積されると非常に有害であり、環境汚染などの問題を引き起こす原因となった。
インジウム ガリウムと並んで希少な金属で、アルミニウムや亜鉛の鉱石中に痕跡量しか存在しない。金属は白色でやわらかく、酸に溶けやすい。
スズ 存在量のそれほど多い金属ではないが、天然資源から比較的容易く得られる。工業的には非常に重要で、空気中で安定な性質を利用して、鍍金などによく用いられる。人体に無害なため、食器、カンなどにブリキ(スズを鉄板の表面につけたもの)として使われる。その他、合金としてさまざまな用途がある。アンデルセンの童話に出てくる玩具の兵隊はこれで作られていた。
アンチモン 銀白色の金属で、塩酸や希硫酸には溶けないが、濃硫酸や濃硝酸には溶解する。空気中では、熱すると燃焼する。濃硝酸に溶かすと酸化されて五酸化二物(アンチモン酸)になるが、これは水和状態でイオン交換反応をする性質を持ち、特にナトリウムイオンに対して強力な吸着力がある。
テルル 酸素中もっとも天然存在量が少ない元素。分類上は非金属元素だが、セレンと比較してもますます金属に似てくる。単体は空気中で燃え、二酸化物を作る。性質はセレンに準じ、有毒なため注意が必要である。
ヨウ素 単体は2原子分子の固体で、わずかに光沢があり金属に似ている。空気中では容易に昇華し、液体の状態を作らない。ヨウ素の特異な反応としては、ヨウ素デンプン反応が上げられるだろう。これは、ヨウ素をデンプンに触れさせると紫色を呈するという現象で、非常に鋭敏なため、デンプンの検出に用いられる。また、ヨウ素滴定と呼ばれる定量分析の際に、デンプンが指示薬として使われるのも、この性質を利用している。ヨウ素をアルコールに溶かした物を、「ヨードチンキ」と称して傷薬などに使うが、この「チンキ」という言葉は、「アルコール溶液」という意味である。したがって、マーキュロクロムを「赤チン」と呼ぶのは単なる対比による習慣であって(アルコール溶液でないから)、決して「赤チンキ」という意味ではない
キセノン 通常希ガスは不活性ガスとも呼ばれ、化学的には極めて安定である。しかしながら、キセノンはフッ素酸素などと結晶性の固体を作ることが知られている。これは、白金のフッ化物を研究している際に、バートレットによって発見された。
セシウム アルカリ金属の一つ。安定な同位体が存在する物の中ではもっとも電気陰性度が低い。そのため、ルビジウムと並んで反応性が高く、水とのそれは爆発的である。単体の融点が28.5℃なので、常温でも液化しやすい。
バリウム 単体の性質はカルシウムに準じる。この金属の2価陽イオンは、硫酸イオンと反応して白色の沈殿を生じる。また、二酸化炭素と反応して白色沈殿になるが、これは塩酸に溶けるため、硫酸塩ほど目立たない。その他、シュウ酸とも沈殿を作るが、カルシウムほど鋭敏でない。
ランタン ランタノイドの基本となる元素。この金属からルテチウムまでの15個は互いに似ており、銀白色で電気陽性が高く、水と直接に反応する。ランタンそのものは、アクチニウムアクチノイド全体に似ていないことに比べ、ランタノイド全体と似た性質を持っている。
セリウム 性質は基本的にはランタノイドに準じる。ただし、酸化物になるときは例外的に +4 の酸化数を取り、出来上がったものは非常に硬い。そのため、ライターの発火石や凹面鏡の研磨などに使われる。
プラセオジム ランタノイドを見よ。
ネオジム ランタノイドを見よ。
プロメチウム ランタノイドを見よ。
サマリウム ランタノイドを見よ。
ユウロピウム ランタノイドを見よ。
ガドリニウム ランタノイドを見よ。
テルビウム ランタノイドを見よ。
ジスプロシウム ランタノイドを見よ。
ホルミウム ランタノイドを見よ。
エルビウム ランタノイドを見よ。
ツリウム ランタノイドを見よ。
イッテルビウム) ランタノイドを見よ。
ルテチウム ランタノイドを見よ。
ハフニウム ジルコニウムに似ているが、更に高融点で熱に強い。ジルコニウム鉱石中に、ジルコニウムの100分の1の割合いで含まれるが、性質が非常に似ているため、分離が困難である。現在では、イオン交換法か溶媒抽出法で分離している。
タンタル 常にニオブと共存して産出する。延性・展性に富み、極めて耐蝕性が強く融点も高い。このため、耐酸材料や熱交換器に利用されるが、その他、鉛と組み合わせて整流作用を持たせることもでき、レーダーなどに使われる。
タングステン 単体金属の融点は非常に高く、3400℃に達する。このため耐火性に優れ、電球のフィラメントなどに用いられる。しかしながら、初期の頃はこの耐火性こそが問題であり、電子融解などが登場するまでは加工が不可能であった。現在では問題なく加工できるので、高速度鋼などに広く用いられている他、コバルトと焼き固められた物は超硬合金として工業的に広く用いられている。
レニウム であるテクネチウムと似ているが、マンガンは似ていない。存在は古くから予想されていたが、存在比が低いために発見はかなり遅れた。単体は、外見の点で白金に似た金属である。レニウムの融点はタングステンに続いて2番目に高く、かつてはタングステンとの合金として閃光球のフィラメントなどとして使われた。現在は、各種炭素化合物の反応における触媒や、耐熱合金などに利用されている。
オスミウム 白金ではあるが、その中ではもっとも酸化されやすい。青灰色の金属で硬く、ガラスを傷つけることができる。電気接点材料やペン先などに使われる。
イリジウム 銀白色のもろい金属。金属にしては珍しく延性・展性がほとんどない。これは熱しても変わらない性質である。酸などには強く、王水にも溶けない。合金として、他の金属の強度を増すために使われる。
白金 金属は非常に融点が高く、酸などの薬品に対して安定である。そのため、溶かすためには、王水などを用いねばならない。この性質を利用して、装身具などに使われるが、存在量が希少なため高価になる。しかしながら、工業的な用途としてもっとも重要なのは各種の触媒としてであり、いわゆるプラットフォーミング(粗製石油の改質)などに利用されている。三元触媒などにも用いられた。
非常に安定した金属である。イオン化傾向が小さく錆びにくいので、貨幣や装身具、万年筆の先端などに使われる。また、柔らかく、金属中最大の延性・展性を持つので、金箔として用いられる。金はこのように安定しているので、王水やシアン化物水溶液を抜かして、通常の酸には溶けない。このため天然に単体として産出しよく目立つ。また融点が低く、原始的な技術でも加工がしやすいので、早くから用いられていた。「女王陛下のプティ・アンジェ」というテレビ・アニメーションの中に、純金の鐘を盗んだ強盗が、表面に他の金属を鍍金してごまかし、それを硫酸の中に落としてしまったために、表面だけが溶けて発覚するというのがあった。しかし現実問題として、純金の鐘というのは材料が柔らかすぎるので、短期間の使用のうちに形が変わってしまうだろうし、音の点でもさほどの物は期待できないから、あまり良い材料ではないと思う。
水銀 常温で液体の状態を取る唯一の金属である。銀白色の光沢を持ち、比重が非常に大きい。この性質からトリチェリの真空の実験に使われ、現在でも真空度を示すメーターに用いられる。この他にも、温度計や金属アマルガムの合成、蛍光燈などに用いられるが、その蒸気や有機系の化合物は猛毒であるため注意を要する。文献によっては遷移元素に分類するが、一般には典型金属として扱う。酸化物や硫化物は鮮やかな赤色を呈し、消毒薬(マーキュロクロム)や印鑑の朱肉に使われる。中世の錬金術師たちは、鉛などを金に変える物質として、「エリキサ(賢者の石)」という物を想定したが、これは赤い色をしているといわれたため、水銀の酸化物と間違えられた。
タリウム ガリウムインジウムと同じく存在量は非常に少ない。黄鉄鉱などの硫化鉱物を焼いた際の煙から取れる程度である。この族の他の金属と異なり、塩酸や硫酸にゆっくりとしか溶けない。
比重が大きく柔らかい金属である。酸とは一応反応するが、表面に不動態を形成することが多いので、中まで進行しない。イオンは毒性が強いので、注意を要する。鉛蓄電池と呼ばれる2次電池は、単体の鉛と二酸化鉛を極として、硫酸に浸した物である。放電して反応が進むにつれ両極とも硫酸鉛に変化していくが、変化したあとも極が水に溶けないため、逆向きに電流を流すことによって再生できる。
ビスマス 単体はやや赤みを帯びた銀白色の金属。空気中で熱すると燃焼して酸化物になる。医薬品や原子炉冷却剤として用いられる。
ポロニウム 安定な同位体は存在しないが、天然にはウラン鉱石中やトリウム鉱石中に分布する。現在はビスマスの中性子照射で得られる。質量数210の物は、α線源として広く用いられる。
アスタチン その名の通り、不安定な同位体しか存在せず、研究が難しい。トレーサーでの実験では、ヨウ素に準じる性質を持つようである。
ラドン 希ガスの中で唯一の放射性物質。同位体のすべてが半減期が短いため、それ自体では安定に存在せず、ウラントリウムからの崩壊によってできる。キセノンの反応性から考えると、この元素も何らかの化合物を(キセノン以上に)作るはずであるが、短寿命であるため、確認が困難である。一般には特殊な健康法として、温泉などに使われている。怪獣とは関係がない。
フランシウム アルカリ金属中で、もっとも重い元素である。極めて短寿命の同位体しか存在しない。その周期表上の位置から考えて、もっとも電気陰性度か低い物質だと思われる。トレーサーでの実験では、予想される性質を持っているようである。
ラジウム アルカリ土類金属中でもっとも重く、不安定である。キュリー夫妻の分離した質量数226の物はかなり長い半減期を持ち、1600年に達する。このため、文献によっては、原子量 226.03 と記載されている。癌の治療などに使われてきたが、現在では別の物質にとってかわられきつつある。
アクチニウム この元素は、ウラン鉱石中にわずかに含まれ、人工にある程度作ることが出来る。しかしながら、放射性の不安定な同位体しかないため、研究が困難である。
トリウム アクチノイドを見よ。
プロトアクチニウム アクチノイドを見よ。
ウラン ウランは、核分裂の燃料として重要な元素である。原子炉等で使われるのは質量数235の物であるが、天然に存在するのはほとんど238なので、様々な同位体分離の技術が発達した。化学的には酸化物、ハロゲン化物、水素化物などをよく作り、これらは非常に複雑な化合物系列である。よく誤解されていることであるが、ウランの元素はそれ自体はあまり放射性を持たない。原子炉等に於て核分裂を起こした際に出来る、副産物が放射能を持つのである。
ネプツニウム アクチノイドを見よ。
プルトニウム 主に原子炉のウラン燃料中から分離される。ただし、それ自体が化学的に猛毒であり、核分裂で生成される副産物も強力な放射能を持っているので、細心の注意を要する。基本的にはイオン交換法に頼るが、現在は様々な分離法が考案されている。
アメリシウム アクチノイドを見よ。
キュリウム アクチノイドを見よ。
バークリウム アクチノイドを見よ。
カリホルニウム アクチノイドを見よ。
アインスタイニウム アクチノイドを見よ。
フェルミウム アクチノイドを見よ。
メンデレビウム アクチノイドを見よ。
ノーベリウム アクチノイドを見よ。
ローレンシウム 現段階で広く認められている原子番号の最終元素である。放射性であり、半減期もそれとわかる位に短いので、天然には存在しない。
104番目以降 104番目以降の元素、いわゆる「超アクチノイド元素」について、現在では110番までの報告があるようである。これらは順に、ウンニルクアジウム(ラザフォーディウム、あるいはクルチャトヴィウム。元素記号Rf)、ウンニルペンチウム(ハーニウム。元素記号Ha)、ウンニルヘキシウム、ウンニルセプチウム(ニルスボリウム。元素記号Ns。この名称は、始め105番元素のものとして提案された歴史がある)、ウンニルオクチウム(ハッシウム。元素記号Hs)、ウンニルエンニウム(マイトナリウム。元素記号Mt)などと呼ばれている。すべて人工の不安定な元素で、非常に半減期が短い。
ランタノイド ランタンに続くルテチウムまでの元素は、ランタノイド(ランタンに似た物の意)と呼ばれる。この系列は互いに性質が似ており、分離は難しい。現在はイオン交換樹脂を用いて、クロマトグラフィ法で分離している。酸化物は概ね +3 の酸化数を取るが、例外もある(→ セリウム)。これらは、4f軌道に電子が漸次配置されていく系列だが、この軌道はその形態からいって遮蔽効果が少ない。そのため、中心の核電荷が増大する効果の方が大きく、原子番号の増大にしたがって原子の半径が小さくなるという、いわゆる「ランタノイド収縮」の現象が見られる。これはアクチノイドでも同様である。
アクチノイド 電子が5f起動に配置されていく遷移元素を、アクチノイドという。しかしながら、ランタノイドの系列がそう呼ばれるほど、この名称は相応しくない。ランタンは明らかにその系列の基本になるが、電子配置からもわかるとおり、アクチニウムはアクチノイド全体にさほど似ていないためである。この系列にも、ランタノイドと同じくアクチノイド収縮が見られる。この系列は放射性の不安定な物質が多く、分離や研究が困難である。にもかかわらず、ランタノイドよりも研究が進んでいるのは、ウランプルトニウムなど、核エネルギーとの関連が深い元素が多いからである。分離には主にイオン交換反応を利用するが、有機のイオン交換樹脂では、分離の過程で発生する放射線に交換体が破壊されやすいので、最近では無機の含水酸化物などの交換体が注目されている。
典型非金属元素 非金属とは「金属ではない」という意味である。したがって、ここに分類される元素は金属結合を行わず、金属に特有の性質を持たない。物性としては単体が気体である物が半分近くを占め、固体も炭素などの例外を抜かして電導性を持たない。また、電子が最外殻に配置されていく物ばかりであるため、すべて典型元素(→ 遷移元素)である。典型元素は周期表上の位置から酸化数(イオン価)が決定しやすく、したがって同じ族内での性質も似通っている。周期表上で真中の付近に位置するアルミニウム、亜鉛などの酸化物は酸・塩基をともに中和する性質を持っているため「両性酸化物」と呼ばれ、これより左側にある元素の酸化物は塩基性、右側の元素の酸化物は酸性である。
典型金属元素 金属元素のうち、遷移金属の系列にない物をいう。すなわち、電子が最外殻のs軌道またはp軌道に順次配置され、その上に金属としての特有の性質を持つものである。金属の性質としては、いわゆる延性、展性、金属光沢、熱伝導性などがあげられるが、中でも重要なのは良質の電導性を持つことであろう。この原因は、金属の固体が持つ「金属結合」、すなわち原子同士の連結に関与する電子が結晶の隙間を自由に移動でき(これを自由電子と呼ぶ)、それによって電荷を運搬することによる。これは金属において最も特徴的な性質であり、黒鉛などの例外を除けば、他には見られない現象である。なお、文献によっては2B族に存在する三つの元素、亜鉛カドミウム水銀を遷移元素においている物もある。この三つは内側のd軌道がちょうど埋まり終る所に位置し、水銀のように複数のイオン価を持つ物もあるからであろう。
遷移金属元素 通常、電子が最外殻に配置されず、内側のd、またはfに配置されるものをいう。すべて金属元素であり、性質は互いに似通っている。典型金属元素等と異なり、イオン価が単数でなく、溶液に色がついている物が多い。そのため周期表上から性質を知るのが難しいが、有色の錯体を作る物も多く、沈殿反応やキレート滴定などと合わせて、分析は容易である。また、遷移元素のうち、電子が4f軌道に配置されていくものをランタノイド、5f軌道に配置されていくものをアクチノイドという。ランタノイドイットリウムなどと合わせて希土類(現在はそれほど「希」ではないことがわかっている)と呼ばれ、「キドカラー」というテレビの語源となった。
周期 周期表の横列。同周期に位置する元素同士は、電子殻の数が等しい。また、この電子殻の数が、そのまま周期の数字になる。1869年にロシアのメンデレエフは、元素をそれぞれの原子量の順に並べて性質を調べ、似たような元素が繰り返して現れることから、「元素の周期律」を確立した。後にこれは、原子番号の順に並べるほうがより正しいことがわかったが、メンデレエフは自作の周期表から、当時未発見だった元素の性質を予言し、周期律の正しさを証明した。彼が作った周期表は、今日でいう短周期表(8つの族ごとに周期をまとめたもの)であったが、現在では、遷移元素ランタノイドアクチノイドを見易くするため、18の族で周期をかえる長周期表が一般的である。
周期表の縦列。最外殻の電子配置が等しい元素のグループ。同族に所属する元素は、互いに似た性質を持つ。これは特に典型元素(非金属も典型金属も)についてよく当てはまる。例えばリチウムナトリウムカリウムルビジウムセシウムフランシウムはすべて1A族に所属し、s1 の電子配置を持つ。これらの元素の性質は互いによく似ており、アルカリ金属として分類される(水素については例外。ただし、水素は1A族に置かないという考え方もある)。従来の周期表では、族について、0〜8の区分を行い、8族、0族以外に対してA、Bの「亜族」を置いていた。また、この際の数字については、ローマ数字を用いる(TA、UBのように)という慣例もあるようだが、これはテキストによってまちまちである。更に最近になって、このような亜族を用いず、1から18までの通し番号を使用するという動きが盛んになり、高等学校の教科書もこのやり方に準じるようになった。このトピックスに於いては、アラビア数字と亜族を用いる(1A、2Bのように)従来の表記法を使ったが、これと新しい表記との対応は次の通りである。
1A → 1
2A → 2
3A → 3
4A → 4
5A → 5
6A → 6
7A → 7
8 → 8、9、10、
1B → 11
2B → 12
3B → 13
4B → 14
5B → 15
6B → 16
7B → 17
0 → 18
アルカリ金属 1A族の元素のうち、水素を抜かした、リチウムナトリウムカリウムルビジウムセシウムフランシウムの6つをいう。これらはすべて最外殻にs1 の電子配置を持ち、+1の酸化数を取る。性質は基本的に不安定で、リチウムのみはやや遅いが、どれも水と爆発的に反応する。また、その際に水酸化物が生成され、強塩基性を示す(「アルカリ金属」の由来)。空気中でも極めて不安定で、すばやく酸化されて塩基性酸化物を作る。このため、普段は石油中に保存すべきである。全体的に融点・沸点が低く、また、ナイフで切れるほどやわらかい。水によく溶ける塩を作りやすく、沈殿反応で定性することは難しいので、原子吸光法や放射化分析法などを用いねばならない。
アルカリ土類金属 アルカリ土類という用語は、従来2A族のすべての元素に対して用いられていた。ところが、ベリリウムマグネシウムの2元素は、他の4つに比べて硬く、水と直接反応させるためには熱を加えねばならないなど、反応性が著しく異なっている。そこで、この用語はベリリウムマグネシウムには用いられず、カルシウム以下の元素のみに使われるようになってきた。
希ガス 0族の元素を、一般に希ガス(貴ガス)という。これらは大気中に微量成分として含まれており、1原子分子である。ただし、アルゴンなどは窒素酸素に続いて3番目に多い成分であり、見掛けほど「希」ではないとも言える。このグループは、上で述べた通り、最外殻のs軌道とd軌道がちょうど安定な配置で埋まっており、イオン化エンタルピーが極端に高い。そのためほとんど他の物質と反応せず、不活性ガスと呼ばれていた。しかしながら、最近はキセノンなどに化合物があることがわかっている。
基本物理定数
物理化学定数
アボガドロ定数 NA 6.022136736 e 23 /mol
0℃、1気圧における理想気体の体積 22.4141019 l/mol
気体定数 R 0.0820578 l・atm/K・mol
ボルツマン定数 k 1.38065812e -23 J/K
水のイオン積 Kw 1.008 e -14 mol・mol/l・l
絶対零度  -273.15 ℃
プランク定数 h 6.626075540 e -34 J・s
ファラデー定数 F 9.648530929 e 4 C/mol
素粒子および原子定数
電子の質量 me 9.109389754 e -31 kg
陽子の質量 mp 1.672623110 e -27 kg
中性子の質量 mn 1.674928610 e -27 kg
電子の電荷 −e -1.6021773349 e -19 C
電子の比電荷 mu 1.7588196253 e 11 C/kg